EDとは勃起不全の略称であり、性的刺激を受けても勃起が起こらない、もしくは途中で萎えてしまうなど、満足のいく勃起が起こらない状態を指します。
そしてEDを治療するうえで重要なのが、何が原因なのかを知ることです。というのも、EDの原因は大きく分けて3タイプあり、どのタイプに当てはまるのかによって治療方法が異なるからです。

EDの原因としては、心因性、器質性、薬剤性の3タイプが挙げられます。
心因性はストレスや不安から生じるものになります。器質性は血管や神経に何らかの異常が生じることによって起こります。そして薬剤性は服用している薬が原因となっています。
EDの治療を行う際には、まずこれらのうちどの原因に当てはまるのかを検討し、原因を取り除くことが重要となります。

心因性EDと器質性EDの違い

ストレスを抱える男性 EDの原因の中でも、主に心の状態から生じるものは「心因性ED」と呼ばれます。
このタイプの場合の特徴としては、年齢に関係なく発症する可能性があるということが挙げられます。というのも、心因性の場合はストレスや不安によって、神経がうまく働かなくなっている状態であるため、若い人でも発症する恐れがあります。

また、心因性の場合は原因となるストレスが何かによって、さらに2種類に分けられます。
1つはストレスの原因が自分で分かっている場合です。
例えば疲労や経済的な問題、パートナーから言われた言葉等に対してストレスを感じ、性的刺激を感じにくくなっていたり、自律神経が乱れている状態の場合は、本人も原因を把握しています。
そのため、治療の際は原因となっているストレスを除去していきます。

一方、日常的なストレスが少ないにも関わらず、身体にも特に異常がないのにEDになってしまう場合もあります。
この場合は幼児期の体験や性的トラウマなど、深層心因が原因となっている可能性があります。
深層心因の場合は本人も自覚していないため、治療の際はまず自覚させるところから始まります。そのため、治療そのものの時間もかかります。
このように、心因性EDは主に心の問題によって起こります。

器質性EDの場合

一方、身体の問題によって起こるのが、器質性EDになります。
このタイプの場合は年齢を重ねるごとに発症のリスクが高まります。そして器質性EDの場合は、さらに神経の問題による場合と血管の問題による場合の2種類に分けられます。
男性は性的刺激を受けると、脳から勃起を起こすよう指令が出されます。
この時、手術やケガ等によって神経が傷つけられてしまうと、性的刺激を性器にうまく伝えることができなくなってしまいます。すると性器は性的刺激を受け取れないため、勃起そのものが起こりにくくなってしまうのです。

脳腫瘍・脳出血・パーキンソン病・アルツハイマー病等、脳に関する病気を発症した場合、自律神経障害が生じます。すると性的刺激を伝えられなくなってしまい、EDにつながります。
さて、性的刺激が性器に伝わると、陰茎海綿体の動脈が大きく広がり、勃起が生じます。つまり勃起が起きるためには血管の状態が重要となります。
例えば糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病を引き起こしている場合、血管はダメージを受け、硬くなった状態になっています。
陰茎海綿体を通る血管が硬くなってしまうと十分に広がることができず、EDにつながってしまいます。

また、器質性EDの場合はタバコやお酒も原因となります。タバコにはEDを促進する成分が多く含まれています。ニコチンは性的刺激を伝わりにくくする効果があります。
そしてタールには活性酸素を増やし、血管を傷つきやすくする作用があります。また一酸化炭素には血流を悪くする効果があるため、陰茎海綿体の動脈が広がりにくく、血液も流れにくくなってしまいます。
お酒の場合、ほんの少しだけ飲んだ場合は心因性EDへの効果が期待できます。アルコールには神経を刺激する働きがあるため、いつもより性的刺激を感じやすくなります。
また、ストレスや不安を軽減させる効果も期待できます。一方、アルコールには血流を良くする効果もあります。
血流があまりにも良くなりすぎてしまうと、今度は十分に陰茎海綿体の動脈が拡張されないまま血が流れてしまいます。また、もし勃起したとしても血の流れが良いため、すぐに萎えてしまう恐れもあります。

このように、器質性EDは神経や血管の問題から来るものになります。
そしてヒトは年齢を重ねるごとに神経や血管の機能が弱まっていくため、それだけEDを発症するリスクも高まることとなります。
ただし、若い方の場合も生活習慣の乱れやケガなどによって器質性EDを発症する恐れがあるため、注意が必要となります。

薬剤性EDとは何か?

持病を抱える人 ヒトは年齢を重ねるごとに、様々な持病を抱えるようになっていきます。そして持病の治療のために、治療薬を継続的に飲む必要があるかもしれません。
しかし、薬の成分によっては神経や血管に影響を与え、勃起不全につながることがあります。
このように病気の治療のために服用した薬剤が原因となって起こるEDは、薬剤性EDとなります。薬剤性EDは薬の成分によって、発症の原因が異なります。

まず挙げられるのが、中枢神経に作用する薬剤です。これは主に抗うつ薬・向精神薬などが挙げられます。抗うつ薬の場合は、うつ病によって不足したセロトニンを補うために処方されます。
しかしセロトニンにはドーパミンなどの分泌を抑制、性的刺激が伝わりにくくなってしまいます。また、向精神薬の中には性機能障害を引き起こす恐れがあるものもあるため、注意が必要です。

そして次に挙げられるのが、末梢神経系に作用する薬剤です。主に鎮けい剤・抗コリン薬が当てはまります。
特に抗コリン薬にはアセチルコリンの分泌を抑え、勃起が起こりにくい状態になってしまいます。抗コリン薬は消化管に作用する薬剤にも使われているため、注意が必要です。
薬剤で特に注意が必要なのが、循環器系に作用する薬です。これは利尿剤・降圧剤・血管拡張剤などが含まれています。

例えば血管拡張剤には、血管を広げ、血流を良くする作用があります。しかし、血流が良くなるとそれだけ陰茎海綿体にとどまる血の量は少なくなってしまいます。
そのため満足のいく勃起が起きなくなってしまう恐れがあります。降圧剤の場合は、血圧が低下することにより、身体の末端である性器まで血液が十分にいかなくなる可能性があります。

前立腺がんの治療薬にも注意が必要?

また、前立腺がんや前立腺肥大症の治療に使われる薬にも、注意が必要です。前立腺がんや前立腺肥大症は男性ホルモンが大きく影響しているため、治療の際は男性ホルモンを抑制する必要があります。
しかし男性ホルモンが減少すると、勃起が起こりにくくなってしまいます。ただし、男性ホルモンが減少すると性的刺激も感じにくくなるため、あまりEDであるという自覚は生じにくいです。
また、年齢が高い方の場合は元々男性ホルモンの分泌が減少しているため、あまり影響がでなかったり、薬をやめたからといって回復するとは限らないのが現状です。
このように、薬剤性EDは様々な薬による影響が原因となっています。そして薬剤性EDの場合、原因となる薬を取り除くことで改善する可能性があります。

ただし、この時気をつけなければならないのが、勝手に薬をやめたり、薬の量を減らさないようにすることです。
確かに何かの薬剤が原因でEDが引き起こされている可能性はあるかもしれません。けれども、そもそも今飲んでいる薬剤は何らかの病気の治療に必要なものである可能性が高いです。
そのため、勝手に薬をやめてしまうと病気が悪化する恐れがあります。ですので、自己判断で薬の調節を行うのは絶対にやめましょう。

しかしだからといって、薬剤性EDの治療をあきらめなければならないというわけではありません。
ヒトが生きるためには、病気の治療ももちろん大切ですが、QOL(生活の質)の向上も大切になります。
QOLは生きる意欲にもつながるものであり、よりその人らしく暮らすために重要なものだからです。もしQOLが低いと、ストレスも溜まりやすくなり、別の病を発症する恐れもあります。
そのため、QOLを尊重しつつ治療することが重要となります。

薬剤性EDの場合、完全に原因となっている薬をやめなければならないとは限りません。まずは病院で医師に相談します。
その上で薬の量を減らしたり、原因となる薬をやめて他の治療法を行ったりします。原因となる薬の摂取量を減らし、持病とうまく付き合いながら薬剤性EDを治療していくことが重要となります。

EDを自覚したらすぐに病院へ行きましょう

EDを自覚した男性 もしEDを自覚した場合、大切なのはできるだけ早く病院に行くことです。一人で悩みを抱え込んでしまうと、さらにストレスにつながり、症状を悪化させてしまう恐れがあります。また、何か別の病気が隠れている恐れもあるため、病院で早めに治療を開始することが重要となります。

病院を受診する際、どこの病院を受診するかも重要となります。病院によって方針や考え方が異なるためです。
そのため自分に合った病院がどこか、事前に探しておきます。そして自分に合いそうな病院を見つけたら、まずは受診をして見ましょう。

病院では様々な治療法が検討されますが、まず最初に行われるのがバイアグラやレビトラによる内服薬による治療です。これは薬を使って血流を良くしたり、男性ホルモンを補うことで勃起を起こりやすくする治療法になります。
現在内服薬にはいくつか種類があるため、患者本人の原因や生活状況に合わせて薬を選択していきます。

ただしこの時注意が必要なのが、一緒に飲んではいけない薬があることです。
例えばニトログリセリン、血流を良くする薬、利尿剤などを飲んでいる場合は併用することができません。
もし併用してはいけない薬と一緒に飲んでしまうと、効果が強く出すぎてしまい、身体に悪影響を及ぼす恐れがあります。また、薬の中には併用すると効果を打ち消しあってしまうものもあります。
そのため、病院を受診した際は、必ず今飲んでいる薬についてしっかりと伝える必要があります。もしなにか持病がある場合は、その病気についてもしっかりと伝えておくようにします。

薬の問題や効果の問題で、内服薬での治療に効果が見られない場合は、異なる治療法を行います。
「陰圧式勃起補助具」はシリンダーに陰茎を入れ、勃起とその維持を手助けします。「陰茎海綿体注射」は、陰茎海綿体に直接薬を注射します。
「陰茎プロステーシス」の場合は人工陰茎を埋め込みます。このように、内服薬による治療で効果が見られない場合は、外科的な治療になります。

また、EDの治療で重要なのが、原因の解決です。EDには大きく分けて「心因性」「器質性」「薬剤性」の3タイプがあります。
それぞれの原因にあった解決策を取ることで、より治療を効果的に進めることが可能となります。

心因性の場合
原因となっているストレスを取り除くことが重要となります。まず何が本人にとってストレスになっているのか、問診などを通して把握していきます。
この時ストレスの原因が本人も自覚できるものならいいですが、そうでない場合は何が原因なのか、幼児期からの記憶を辿って、原因を特定する必要があるでしょう。
器質性の場合
動脈硬化や神経の病気など、身体に何らかの異常が生じている可能性があります。内服薬を通して血流の改善などを図るとともに、根本となる身体の原因を取り除くようにしていきます。
薬剤性の場合
何らかの薬が原因でEDとなっている状態です。必ず医師と相談しながら、原因となっている薬剤を探し、薬の量の調節を行っていきます。

このようにEDは様々な治療方法を組み合わせて改善を目指していきますが、この時注意すべきなのがお金です。
基本的にEDの治療は保険適用外となり、診察費・検査費・薬剤費などはすべて自己負担となります。もしお金に不安がある場合は、医師に事前に相談して置くようにしましょう。
なお、EDは糖尿病による場合、男性更年期障害による場合、事故などにより性機能障害を受けた場合は健康保険の適用範囲内での治療となります。
もしこれらの持病が初めからあることが分かっている場合は、医師に相談するようにします。

このようにEDは内服薬を利用しながら医師の問診を受けることにより、治療することが可能です。
そして早めに治療を開始すれば、それだけ早くに改善する可能性も期待できます。もし不安な場合は一人で悩まず、早めに病院を受診しましょう。

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